「デジタルマーケティングってつまりは何だ?」
あなたが、そのような疑問を持っているのであれば最適な、勉強用の教科書のご紹介です。
データ活用技術の発展によって、あなたもデジタルマーケティングやWebマーケティングによるプロモーションを受けていることでしょう。
- ECサイトに訪問すれば、過去に買った本に近しいジャンルのオススメ本を紹介してくる。
- スマホを開けば、様々なアプリが昨日調べたアパレルブランドの広告を表示してくる。
- メールを見れば、過去に購入したサプリメントの再購入を促してくる。
「そうそう!これがデジタルマーケティングだよ!」
きっと、あなたもそう思ったでしょう。
でも、考えてみてください。
「デジタルマーケティング」という言葉は、このプロモーションにおける「どの部分」を示しているのでしょうか。
「Webマーケティング」との違いは何でしょうか。
考え始めたあなたは、デジタルマーケティングに対してもっと興味を持っているのではないでしょうか。
【デジタルマーケティングの教科書―5つの進化とフレームワーク】
オススメ読者
この本はある程度マーケティングの知識がある方にとっては、少し退屈に感じられるかもしれません。
前半には「従来のマーケティング」として、いわゆる有名なフレームワークが紹介されているからです。
ですが、「従来のマーケティング ⇒ デジタルマーケティング」という発展性を理解することで、あなたの中で釈然としていなかったデジタルマーケティングという言葉を綺麗に腹落ちさせることができます。
もちろん、マーケティング初学者や戦略について復習をしたいと考えている方には、STPや4Pといったフレームワークが戦略立案の中でどのように使われるのかという基礎からデジタルマーケティングを学ぶことができます。
なので、オススメの読者は・・・
- 有名フレームワークを活用した戦略検討の流れを学びたい初学者の方
- 時代の変化とマーケティングの変化における関連を復習したい方
- 「デジタルマーケティング」という言葉にモヤモヤしている方 ※私がこれでした。
といった感じでしょうか。
タイトル通り「教科書」として、時代変化とマーケティングの変遷を簡単に振り返ることができるので大変勉強になりました。
ここで質問です。
「出世をして年収を上げたい・キャリアアップをしたい!」
「仕事のできるビジネスパーソンになって、周囲の評判をひっくり返したい!」
「ビジネス力を高めて、収入上げて、投資で不労所得を得たい!」
筆者「きつね」と同じく、あなたもそう考えたことはありませんか?
書籍から知識を得ることであなたの目的達成に近づきます。
ですが、本を購入すると費用もかかりますし、保管場所も負担になりますよね・・・。
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著者
著者は名古屋商科大学大学院(MBA)の教授もされている「牧田 幸裕」さんです。
- 牧田 幸裕(まきた ゆきひろ)
- 1970年 京都市生まれ
- 京都大学経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科修了
- ハーバード大学経営大学院エグゼクティブ・プログラム(GCPCL)修了
- アクセンチュア戦略グループ、サイエント、ICGなど外資系企業のディレクター、ヴァイスプレジデントを歴任
- 2003年:日本IBM(旧IBMビジネスコンサルティングサービス)へ移籍
- 2006年:信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科助教授
- 2007年:信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科准教授
- 2012年:青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 非常勤講師
- 2016年:長野市産業振興審議会 副会長
- 2018年:名古屋商科大学大学院教授
ハーバード⇒アクセンチュアやIBMで重要職⇒MBA教授って、なんですかね。
キャリアが綺麗過ぎて。
他にも『フレームワークを使いこなすための 50問』『ラーメン二郎にまなぶ経営学』『ポーターの『競争の戦略』を使いこなすための 23問』『得点力を鍛える』(いずれも東洋経済新報社)などを出版されています。
目次
目次をご紹介します。
- 序章 20XX年のマーケティング―デジタルテクノロジーが実現する近未来
デジタルマーケティングが実現する近未来の消費者の購買行動
レジでの決済なしで買い物ができるAmazom Go
オム二施策で先行する「マルイウェブチャネル」
顔認証と表情認識がもたらすデジタルマーケティングの近未来
Google、Amazon、 Appleが想定する自動運転の進化 - 第1章 デジタルマーケティングとは何か
本書で定義するデジタルマーケティング
混沌とするデジタルマーケティングの定義
現在の定義は対象範囲をカバーできていない
従来型マーケティングとデジタルマーケティングの関係 - 第2章 従来型マーケティングの戦略策定プロセス
マーケティング環境分析-PEST分析とSWOT分析
マーケティング戦略立案-STPからマーケティング・ミックスが決まる
マーケティング戦略実行-まずは仮説を検証する
マーケティング戦略管理-市場導入後も検証は継続される - 第3章 デジタルマーケティングの5つの進化とフレームワーク
進化1:環境分析―FOAで未来を定義する
進化2:消費者理解―AISAS、ZMOTで消費者購買行動を理解する
進化3:セグメンテーション―「全体から細分化」ではなく「個からの形成」で考える
進化4:チャネル―シングルチャネルからオムニチャネルへ
進化5:プロモーション―「マス」から「One to One」へ - 第4章 マーケティングのキープレイヤーはどう変遷するか
総合広告代理店:需要過多(もの不足)の時代のキープレイヤー
外資系戦略コンサルティング会社:供給過多(もの余り)の時代のキープレイヤー
デジタルコンサルティング会社:デジタルマーケティング変革期のキープレイヤー
消費者行動データ所有企業:デジタルマーケティング確立期のキープレイヤー - 第5章 デジタルマーケティング実践に求められる能力
デジタルマーケティング部門リーダーに求められる役割
リーダーに求められる「連携力」「統合力」「構想力」
担当者に求められる従来型マーケティングを超える実践力
見えない未来を予想し、検証する
第4章あたりでは正直、古巣であられるアクセンチュアやIBMを激推しされている感は否めないです。
ただ、実際として両社共に戦略・マーケティング・業務・システムをカバーする総合デジタルコンサルティングファームですので、否定もできないですけどね。
『デジタルマーケティングの教科書―5つの進化とフレームワーク』概要
本書における重要な点は以下の3点ですね。
- 「デジタルマーケティング」の定義
- マーケティングの進化
- マーケティングのキープレイヤー変遷
「デジタルマーケティング」の定義
本書の帯にも書いてあるようにデジタルマーケティングは以下の2つに分解できるとしています。
- データドリブン:データによって消費者を理解、消費者にアプローチする
- オムニチャネル:ECチャネルとリアル店舗をシームレスに統合する
購入履歴データを活用したレコメンド(商品のオススメ)なんて前からあるし、ECで購入して店舗で商品を受け取るような体験も真新しいものではないです。
しかしながら、「AIなどの技術発展により高度化されたデータドリブンとオムニチャネルを繋ぎ合わせて得られる一貫した顧客体験」こそがデジタルマーケティングと訴えているわけです。
確かに「誰かが何かを買った」というデータは比較的集まりやすいです。
では、購入前と購入後のデータは集まりやすいと思いますか?
購入を決意する前に「どんな検索をしたのか」「店頭で一度手に取ったりしたのか」といったデータが購入前データです。
「購入後はどのような評価を持っているのか」というデータが購入後データです。
これも、ネット検索履歴や店舗カメラ、SNSの投稿内容から把握することはできそうですよね。
さぁ、それでは集まったデータを分析してみましょう。
・・・。
集まったデータは「誰の」データでしたっけ?
購入前にネットで検索をした人と店頭で一度手に取ったり、SNSで口コミ投稿をした人は同じ人ですかね?
デジタルマーケティングは、ECチャネルはもちろん、店舗での顔認証システムやビーコン・IoT技術を駆使して、オンラインとオフラインの世界で「1人の人間」が行った行動として分析ができるようになります。
更に、販売データや在庫データもシステム的に管理され、購入者のエージェンシーとして最適な販売経路・販売タイミングを提案することすら可能になる。
オンラインでもオフラインでも、シームレスな顧客体験を提供する。
これが「データドリブン+オムニチャネル=デジタルマーケティング」という定義の理解です。
マーケティングの進化
このように「1人の人間(個客)」に対応するようになった、というのがマーケティングの進化といえるでしょう。
現在は情報取得のツールが整備され様々な情報に触れて、価値観も多様化しています。
結果として、ニーズも多様化・細分化されているので、従来のような「年齢×性別」などの画一的なセグメンテーションでは誰の心にも響かないということも考えられます。
高度経済成長期のように、情報や物がある程度、画一的であった時代はマスマーケティングを行って認知をさせれば売れたのでしょうね。
日本人は同調圧力も高いでしょうから、「周りが買うなら」という心理も働いたと想像できます。
一転して、これからは「個人の集合体としてセグメントやマスが構築されていく」という発想を持つことが重要です。
WebやIoTによるデータの爆発的な増加に、データの保存と分析を可能にするクラウドやAI技術の発展が「個客」へのアプローチを可能としてしまったのです。
マーケティングのキープレイヤー変遷
目次に書いてあることが的確でわかりやすいので再掲します。
- 総合広告代理店:需要過多(もの不足)の時代のキープレイヤー
- 外資系戦略コンサルティング会社:供給過多(もの余り)の時代のキープレイヤー
- デジタルコンサルティング会社:デジタルマーケティング変革期のキープレイヤー
- 消費者行動データ所有企業:デジタルマーケティング確立期のキープレイヤー
需要が多い時代は商品をマス的に宣伝させられる力を広告代理店がメインだったというの想像に難くないです。
欲しい人がたくさんいるのですから、宣伝すれば売れたのです。
そこから時代は流れ、需要は満たされ徐々に細分化されたニーズ(顧客のこだわり)が顕在化します。
最低限の物があるのだから、次は自己実現欲求を満たしたくなるのは自然な心理です。
困った企業は戦略コンサルティング会社に相談。
細分化された市場のニーズを汲み取って戦略を検討していくようになりました。
ネットもスマホもない時代ですから、戦略コンサルティング会社のリサーチ力や知見というのが大きな価値を発揮していた時代です。
現代では、デジタル領域に強い総合コンサルティングファームが広告代理店を買収したり、ITベンチャーが個客を捉えるソリューションを展開することで、本書で示しているデジタルマーケティングが成されています。
その先の未来では、ここでも登場するGAFAを始めたとした消費者行動データを収集するプラットフォーマー達がキープレイヤーになる世界を語っています。
恐らく、あなたの感覚としてもGAFAが、より一層私たちの生活に根付いていくことに違和感はないことでしょう。
コンサルタントとして、日本の企業が立ち向かう未来の困難に対する解決策を、模索し続ける必要があると感じました。
最後に
【デジタルマーケティングの教科書―5つの進化とフレームワーク】に興味を持っていただけたでしょうか?
もし、少しでも興味を持たれたのなら、以下の本も読んで「経営戦略とマーケティング」に関する牧田さんのMBA授業を疑似体験すると、理解も深まってより一層面白いと思います!
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