あなたが努力をしているのに会社や上司、もしくはクライアントやお客様から評価をされないと悩んでいるのなら。
それはきっと「期待値コントロール」という考え方が身に付いていないから。
今回の記事を読めば、コンサルタントが実践する「期待値コントロール」の方法を知ることができます!
自分の血肉となって自然と「期待値コントロール」ができるようになるまで、繰り返し意識をしてください。
「努力すれば良い」というのはビジネスの世界で通用しない
ここで急ですが、あなたが駅伝チームの一員だとしましょう。
あなたが任された区間はそうですね、原宿から新宿までだとしましょう。
一生懸命走って走って、当初想定していた区間と同じ距離を区間賞レベルの記録で走り切りました。
でも、バトンを渡す相手は見当たりません。
それも当然。
原宿から走り出したあなたが辿り着いたのは、なんと恵比寿駅。
新宿と真逆の方向に、ベストタイムで走り切ったのです。
さぁ、あなたは駅伝チームの監督やチームメイトから評価されるでしょうか・・・。
まず「評価」というものは、成果に基づいて他人が行うものです。
コンサルタントの場合、評価者は上司であるマネージャーやパートナーであったり、クライアントであったりするわけです。
彼らの頭の中には、コンサルタントに対する期待があります。
- 上司の持つプロジェクトマネジメントの観点では、クライアントに価値提供するうえで必要な作業をこなして、成果物を仕上げてくれるか。
- クライアントが持つ観点としては、コンサルタントフィーに対する成果として、企業の抱える課題の解決策を提案(もしくは推進)してくれるか。
上記のような期待に対して、いくら努力をしたからといって成果が出なければ評価はされないのがビジネスの世界です。
このことを念頭に「相手の抱く期待は何か」ということを捉えて走り出さなければなりません。
コンサルなら「期待値コントロールの方法」を学べ!
そこで新人コンサルタントが学ぶべき必須スキルとして挙げられるのが「期待値コントロール」です。
きつね(@fox_wisdom777)の考える定義ですが、期待値コントロールを以下のように定義します。
期待値コントロールとは
- 評価者(上司や顧客)の期待する業務・成果物水準を把握し、
自身の状況(スキル・体調・時間など)を考慮して、適切な期待水準を維持(調整)すること
いくら努力をしても成果でなければ評価はされません。
成果が出ていても期待を下回っていての評価はいまいち。
表にすると以下のようなことです。
冒頭に例示した「駅伝で走る方向を間違えてました」というのは、上の表でいうところの#4に該当する感じですね。
期待値と評価の関係性が頭に入ったところで、期待値をコントロールする力がなぜ重要なのか考えてみてください。
目的は評価を上げる(もしくは適切な評価を得る)こと。
手段として、期待値コントロールがある。
では「なぜ期待値コントロールが手段として重要なのか」という問いです。
答えは単純で、自分にできないこと以上の期待値を超え続けるのは不可能だからです。
コンサルタントはマネージャー以上の管理職やクライアントから様々な期待をされます。
プレッシャーも適度なストレスであれば、人生の良いスパイスになるものです。
それが無理難題を押し付けられて悶々と悩み続けたり、できないことに対して「できます!」と威勢よく答えてしまい、ハードルがグンと上がってしまった結果「全然ダメじゃん」と評価されるのは不健全です。
後者は自業自得な感じもしますが、前者は明らかに重荷を背負わされたケース。
ここでは「相手の期待を下げる」という期待値コントロールが必要になります。
後者については自分でハードルを上げにいきましたが、ちゃんと飛び越えられるハードルの高さを明示しなければならなかったでしょう。
どちらも自分にできないことを期待され、飛び越えられないハードルを作り上げてしまったことが原因です。
ビジネスにおける「期待」の構成要素とは?
期待値コントロールの重要性が分かったところで、そもそもとして「ビジネスにおける期待とは何か」ということを考えてみたいと思います。
期待は以下の3つの要素から成り立っていると考えられます。
- 時間
- 品質
- 量
これらの要素が複雑に絡み合って、相手の期待はできているのです。
一般的に、時間を要すれば要するほど、相手の期待は大きくなります。
「時間をかけているのだから、良いものができるはず」
こう思うのは自然でしょう。
そこには成果物の品質に対する期待も、量に対する期待も含まれています。
時間経過と共に期待の変化を図示すると以下のようになるでしょう。
「時間が経過していないのだから、成果物Aであればそんなものか。」
「そこそこ時間が経っているな。良い成果物Bができ始めているのではないか?」
「充分な時間は過ぎているな。これは成果物Cは期待できるぞ!」
意味ある期待値コントロールは、相手の期待を図ることから
今回の記事における最重要ポイントです。
【時間×品質×量】という要素で期待値を分解したときに、相手が最も望む要素はなんでしょうか?
簡単な言葉で表せば、
- 時間重視:できる範囲で良いから、さっさと終わらせてほしい?
- 品質重視:時間をかけても良いから、特定の情報について調べ切ってほしい?
- 量重視:幅広く知りたいから、とにかく情報を集めるだけ集めてほしい?
評価者が何を重視しているのかを図ること。
これが期待値をコントロールする力の基礎になります。
そのうえで、相手の期待値を超えられるように全力で臨むものの、どうしても超えられそうにないのであれば、素直に期待値を下げにいきましょう。
期待を超えられない客観的な理由を添えて。
他の作業に精一杯なときもあれば、苦手な分野だから避けたい気持ちもあるでしょう。
そういった場合は無理に引き受けずに素直にできる範囲を伝えることが大事です。
マネージャー以上の管理職もクライアントも、できないことをコンサルタントに引き受けてもらって後でちゃぶ台返しを食らうことを望んではいないのです。
ビジネスを前に進めるために最大限のリソース活用をしたいだけなのです。
メンタルヘルスケアに通ずる期待値コントロール
今回ご紹介した「期待値コントロールの考え方」はメンタルヘルスケアにも役立ちます。
過度なプレッシャーに苦しんだり、上司・顧客からの評価が上がらないと悩んでいる場合、相手の望むものを適切に把握できていない場合があるからです。
期待値を超えられず努力をするのだけど、努力の方向性が異なっている。
このような状況に陥っていると、悪循環に嵌まってしまいます。
抜け出すのが難しくなってストレスが延々と続いてしまい、最後は適応障害・うつ病になってしまうこともあるでしょう。
コンサルティング業界がブラックと評されるのは、この期待値に対する考えがとてもシビアで、日業務の根底に流れていることも理由でしょう。
期待値越えの重要性だけを妄信して、時間や精神状況を厭わないで業務に猛進すること。
高いフィーをいただいているので、もちろん全力を尽くす必要はあるのですが、人間である以上の限界や倫理観を忘れてはいけません。
期待値をコントロールして、上司もクライアントも、自分も楽しく仕事を続けられる状況が広がることを望んでいます。
最後に
コンサルティング業界に関するブラックな側面が少しだけ垣間見えたかもしれませんね。
でも、昨今はコンサルティング業界もホワイト化の波が来ています。
詳細は以下の記事で紹介をしていますので、よろしければご覧ください。
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