コンサルタントとは何か。
様々な状況や文脈で「○○コンサルタント」という言葉が使われているために、その言葉が表す職業の理解が難しくなってきたと感じています。
今回は「法人に対するコンサルティングを生業とするコンサルタント」を前提に、「コンサルタントと何か・コンサルティング業界とはどのような業界なのか」を解説します。
そのうえで、一般的なベンチマークとされる外資系の総合系コンサルティングファームで働くコンサルタントの職位別年収を公開!
コンサル業界への就職・転職を考える方はもちろん、ビジネスパーソンとしてのスキルアップやキャリアアップを考える方にも有益な情報だと思います!
そもそも “コンサルタント” とは
まずは定義からです。
コンサルタント(Consultant)とは
- 課題を特定し解決策の提案・実行を支援する職業
「意見を聞く・助言を聞く」という意味を持つ動詞「consult」の意味からも分かる通り、「豊富な知識や経験を元に、悩めるクライアントに対して解決策の提案を行い、実行を支援する」こと。
これがコンサルタントという職業の本質にあります。
ビジネスとしてのコンサルタントはアメリカではじまった、企業経営や戦略について提言をする「経営コンサルタント」と言われています。
コンサルティング対象が企業経営に関することですので、解決策の提案は以下のような会話になるでしょう。
近年、社の業績が低迷している。
状況を打開するために何を行うべきか。
不採算事業であるA事業の撤退が最優先です。
そのうえで、捻出した経営資源を事業Bに集中させて・・・
法人に対する経営コンサルタントは源流ではありますが、ITシステムの導入や開発に関するコンサルタントであれば、ITコンサルタントと呼ばれます。
ですので「簡単な稼ぎ方を教えます!」という誘い文句の怪しいビジネスも、広い意味では「コンサルタント」と言えなくもないのです。
コンサルティング領域・コンサルティングファーム
元来、経営に関する課題解決を支援していたコンサルタント。
時間が流れるなかで経営課題が多様化したり、プロフェッショナルな「コンサルタント」という職業の権威を借りるように、課題解決を進める領域毎に「○○コンサルタント」と多数の名称が存在することになったのです。
2021年4月におけるWikipediaの「コンサルティング」というページには、以下の分類が記載されています。
- 戦略系コンサルティング
- 総合系業務コンサルティング
- IT系コンサルティング
- 人事系・人材開発系コンサルティング
- 国内総合研究所系コンサルティング
- 国内系経営コンサルティング
- マーケティング系コンサルティング
- ブランド戦略系コンサルティング
- Webコンサルティング
- 企業再生コンサルティング
- コスト削減コンサルティング(BPO、BPR)
- ERPコンサルティング
- 新規事業・イノベーションコンサルティング
- 環境コンサルティング
- セキュリティコンサルティング
全くMECE(ミーシー)、「モレなくダブりなく」ではないですね・・・。
色々なコンサルティング領域が存在するのが実情ですし、相手であるクライアントがわかりやすいように同じような意味でも、言葉を変えることがあっても良いと思います。
でも、あまりにも多く言葉が生まれてしまったので、逆にわかりにくいのが現状だと思います。
そこで
「法人に対する経営課題の解決策提案、または解決策の実行支援を行いコンサルタント料をいただく業種業態」
という本来のコンサルティング業界におけるコンサルティング領域について、整理をしてみましょう。
戦略コンサルティング
コンサルティング領域として最も上流に位置するのが「戦略」です。
経営コンサルタント・戦略コンサルタントと呼ばれるコンサルタントのサービス提供領域です。
コンサルティング対象が「企業経営なのか事業経営なのか」という大きな分類はありますが、どちらも市場動向や競合の戦略、クライアント企業(事業)の経営状況を鑑みて課題の特定と解決策の立案を行います。
様々な経営知識や判断力、社内外とのコミュニケーションが求められる、とても高難易度のコンサルティング領域。
課題も解決策も様々です。
企業の買収をすることもあれば、ブランディングやプロモーションなどのマーケティング課題であることもあります。
業界のベンチマークと比べてコストが割高であれば、リストラなども含めたコスト削減策を検討したり、ITシステムの導入によって課題解決を実現することもあるかもしれません。
従来の科学的な経営戦略だけではなく、近年は「デザイン経営」という言葉も目にすることが多くなったように経営の課題は多岐に渡り、そして時代と共に変化します。
同じ答えは存在しないために、経営者ですらも答えを探し続ける。
そこにコンサルタントが共に悩み苦しみ、解決策を見出すことでクライアント企業の成長を支援する。
とてもやりがいとプレッシャーのある仕事です。
戦略系コンサルティングファームの例
- マッキンゼー・アンド・カンパニー
- ボストン・コンサルティング・グループ
- ベイン・アンド・カンパニー
- A.T.カーニー
- ローランド・ベルガー
- PwCコンサルティング ストラテジーコンサルティング(Strategy&)
- ドリーム・インキュベーター
- コーポレイト・ディレクション
業務コンサルティング
全社的な業務効率化や業務の標準化などを行うコンサルティング領域。
広義に捉えると、「組織・人事制度の改革」や原材料調達プロセスの改善という意味で「サプライチェーン・マネジメント」などもこの領域に該当します。
一見すると、【戦略】領域と後述する【IT】領域との境が曖昧にはなります。
あくまで課題解決策として「業務プロセスや制度の見直し」に焦点を定めているのが特徴です。
現状の業務プロセスや制度を可視化し、【戦略】領域での検討を踏まえた「あるべき業務・制度」を定めて実現策を描くことが求められます。
業務変革にITシステムの導入や開発が必要であれば、それは【IT】領域のコンサルティングと重なる部分が出てくる。
このように、経営課題の特定と解決策である戦略と実現手段のITを結ぶ領域であることから、単独で【業務】領域のコンサルティングサービスを提供するファームはあまり多くありません。
いわゆる「総合系コンサルティングファーム」が、【戦略~業務~IT】を一気通貫で支援するケースがほとんどでしょう。
もしくは「人事制度改革」などの特定分野に特化した専門コンサルティングファームに依頼をする、といったように2分される印象です。
後者であれば、関連する法令なども熟知した踏み込んだコンサルティングが受けられる可能性もあります。
ここでは、多くの業務改善に関与する総合系コンサルティングファームを記載します。
総合系コンサルティングファームの例
- デロイトトーマツコンサルティング
- プライスウォーターハウスクーパース
- アクセンチュア
- アビームコンサルティング
- フューチャー・アーキテクト
- ベイカレント・コンサルティング
- シグマクシス
ITコンサルティング
課題解決の実現手段としてITシステムの設計や導入を行います。
パッケージ商品の選定やベンダー選定を行うこともあれば、システム開発プロジェクトを支援するPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)も担います。
総合系コンサルティングファームに在籍するコンサルタントが、ITコンサルタントとして支援することもあります。
ITが戦略や事業経営と切り離せない現代。
ITを駆使して経営をリードすることも求められるため、システム開発会社と同じような役目を果たすことも重要な支援領域と言えますね。
IT系コンサルティングファームの例
- スカイライトコンサルティング
- アビームコンサルティング
- フューチャーアーキテクト
- ウルシステムズ
- ガートナー
- キャップジェミニ
- 日立コンサルティング
- NTTデータ経営研究所
あなたの目指すコンサルタント像とは
コンサルタントとしての経験も踏まえて、「コンサルタントとは何か・コンサルティング業界は何か」を説明してみました。
直面する仕事は優秀な社員を抱えるクライアント企業だけでは解決できない高難易度のものばかり。
絶え間ない自己研鑽と成長が求められる仕事ですが、その分、得られるものも大きいです。
あなたの目指すコンサルタント像を実現できる、得たい経験が得られるコンサルティングファームで働くことができるといいですね。
コンサルタントのタイトル別年収は?
コンサル業界の平均年収は高い。
20代で年収1,000万を達成することも珍しくありません。
働くうえで年収というのは重要な要素です。
今回はコンサル業界に身を置く者としての実体験を元に、コンサル業界の魅力である高年収の実態についてご紹介します。
役職・職位ごとの年収は、コンサルティング領域によって異なるのはもちろん、ファームが外資系なのか日系なのかも大きく影響します。
一般的に外資系は年収が高くなりますし、戦略系と呼ばれる上流工程を支援するファームの方が高年収です。
今回は平均的な年収テーブルと捉えることができるということで、「外資系総合系コンサルティングファーム」を想定して年収のイメージを記載します。
外資系の戦略系ファームであれば1.5倍くらいの年収でしょうし、日系コンサルティングファームの場合は0.8倍といった感じです。
コンサルティングファームによって役職・職位、つまりタイトルの名称は異なります。
しかし、担うべき役割ということで考えると大きくは4つに分類することができます。
アナリスト:年収~500万円(20代前半)
いわゆる新人コンサルタントです。
新卒でコンサルティングファームに入社したり、業界未経験で転職をした20代は、アナリストからキャリアをスタートさせます。
年収は500万円前後といったところ。
マネージャー以上のコンサルタントから指示を受けて、主に以下のようなタスクをこなします。
- 戦略系:調査・資料作成・会議運営(議事録など含む)
- IT系:(事務的)PMO業務・資料作成・プログラミング
プロジェクトのメンバーとしてタスクをこなす。
どこの会社でも新人はそんな感じです。
でも、求められるレベルが普通の事業会社とは違います。
たとえ新人アナリストだろうと、クライアントからフィーをいただいている。
そのフィーに対するプレッシャーに年齢も職歴も関係ありません。
先輩コンサルタントも自身が通ってきた道ですので、新人だからといって甘やかすことはなく、調査や資料作成におけるタスク設計や進捗報告の細部にまで、論理的な思考を求めます。
「なにを目的にこのような調査をしたのか」
「なぜ、資料のこの部分は色が違うのか」
全てに自分なりの意見・考えを持つように、かつ論理が通る理由を述べられるように指導されます。
コンサルタント:年収500~1,000万円(20代後半)
コンサルティングファームに数年勤めると、「コンサルタント」という職位に昇進します。
早い人では2年目で、普通であれば3年目にはアナリストから昇進をします。
20代の大半がコンサルタントという職位に落ち着きます。
年収の幅はありますが、ジュニアな若手「コンサルタント」であれば500~700万円の年収です。
20代後半やマネージャー手前のコンサルタントであれば700~1,000万円の収入を得ているでしょう。
プロジェクトの性質によらず、主体的にプロジェクトメンバーとして成果物を仕上げること、もしくはマネージャー相当としてのリーダーシップとマネジメント能力が求められます。
自身の専門性や得意領域が何かを探りながら、苦しみ悩むのも「コンサルタント」です。
様々なプロジェクトに参画して、興味のある業界や得意とするコンサルティング領域を探る大事な時期です。
「アナリスト」という職位の間は1つか2つのプロジェクトで仕事の基礎を学び、「コンサルタント」という職位では性質の異なるプロジェクトに参画して知見を広げることをオススメします。
理由ですが、職位としての「コンサルタント」までが興味のままに経験を広げられる最後の職位だからです。
さらに上の「マネージャー」を目指すとなると、自身の得意領域・専門分野をある程度定めておかないと業界で生き残ることが難しいでしょう。
自らがクライアントと折衝することも増え、自身のチーム拡大という営業責任も増してきます。
ファームとしての責任が圧し掛かる前に自分の適性を見極める。
だからこそ、「コンサルタント」までに食わず嫌いをせず、様々なプロジェクトに参画してほしいと思います。
キャッチアップ力・適応力というのも、この時代に鍛え上げておくべきですしね。
筆者「きつね」も、この職位のときにIT系のプロジェクトでプログラミングを行ったり、英語を使ってインドの会社と仕事をしたりと未経験の分野への挑戦を重ねました。
未経験分野への挑戦力・適応力については、英語力やプログラミング力よりも大事な財産となっています。
シニアコンサルタントと呼ばれる職位になって、年収も1,000万円を超えました。
マネージャー:年収1,000~1,500万円(30代)
ファームの顔としてプロジェクトをリードするのが「マネージャー」です。
20代でマネージャーとなれば、優秀なコンサルタントとして評価が得られていると言っても過言ではありません。
これまではプロジェクトの中で、メンバーとして、もしくはプロジェクトのチームリーダーとして活躍することが中心でした。
ですが、マネージャーとなれば自社のメンバーだけではなく、クライアントの社員も含めてマネジメントを行ってプロジェクトを成功に導くことが求められます。
加えて、クライアントへの営業活動による新規プロジェクトの開拓や若手コンサルタントを追加アサインするための機会を探さなければならない職位でもあります。
コンサルタントの評価は自身の売上やチームとしての売上が大きな評価要素となるからです。
コンサルティングファームとしての経営や生産性の観点でも、高年収であるマネージャー層には安定的なプロジェクトのリードと新規開拓を期待します。
ゆえに、マネージャーは、自身がある程度の経験値や知識のあるコンサルティング領域でのプロジェクトを推進しながら、新規プロジェクト提案を行い、プロジェクトの規模を拡大していくというスタイルが定石です。
私自身もマネージャーとしてプロジェクトのリードと新規開拓が求められます。
そのような営業活動を行うためには、プロジェクトをある程度任せられるコンサルタントを育てなければなりません。
マネージャーがプロジェクトの作業に付きっ切りでは、提案を行う余地を探す余裕も出てきません。
加えて、推進中のプロジェクトにおいても、俯瞰的に、客観的に全体像を把握するためには「一定の余白」が重要なのです。
コンサルティング品質の管理と営業活動を両立させるための「コンサルタントの育成」。
これが最も重要な職務かもしれないと、最近は感じています。
年収に目を転じると、1,000万円は最低限として、1,500万円や更に高額の報酬を得ることも可能です。
きつねも現在はマネージャーで、年収は1,000万円を超えることができました。
パートナー:年収1,500万円~(実力次第)
コンサルティングファームの「共同経営者」、コンサルタントとしての最上職位「パートナー」です。
年収は1,500万円以上と書いていますが、実際は「青天井」だと思います。
残念ながら、このレベルには達していない私が多くを語ることはできません。
ですが、身近な「パートナー」の方々を見ていると、コンサルタントとしての実力はもちろん素晴らしいものがありますが、人間としての魅力にも溢れている方々ばかり。
数億円以上の規模になるプロジェクトをマネジメントし、クライアント企業の変革について本気で経営層と議論する。
その成功の過程には単なる実力だけではなく、人間性によって築かれる信頼も重要な要素なのでしょう。
コンサルティングの本当の醍醐味・魅力を感じられるのは「パートナー」になってからなのかもしれません。
あなたがコンサルティング業界を目指すなら
これがコンサルタントの職位・役割、そして年収です。
求められるスキルや責任は普通の事業会社よりも大きいものです。
対価として得られる年収も高額。
一方、ジュニアなコンサルタント時代は時給換算でいったら、正直な話、納得感が得られない方もいるかもしれません。
ですが、経験を積み、自身の裁量が増えていくに従い、年収も増えていきます。
そうすると、総合的に「満足度」は高まっていくと思います。
とはいえ、大事な人生。
もし、あなたがコンサルタントを目指すなら。
人生の時間を無駄にしないためにも、ホワイトなコンサルティングファームで働き、「実力・年収・健康」を得ることを目指してほしいと思います。
あとは、アクシスコンサルティングさんというコンサル業界特化の転職エージェントに相談することもオススメします。
コンサルティングファームの執行役員や人事職とのパイプもあって、定期的に情報交換をされていると聞きました。
最新の業界情報や企業の状況を知るには、プロの転職エージェントであるアクシスコンサルティングさんと相談しないと、事実ではないネットの評判だけで判断してしまう恐れも。
こちらの記事にアクシスコンサルティングさんに転職相談をした体験談を記しているので、ぜひご覧ください!!
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