世界一の戦略コンサルティングファームとして君臨するのはマッキンゼー・アンド・カンパニーです。
そのマッキンゼーで12年間、コンサルタントの採用マネージャーを務めていた伊賀泰代さんが著者の【採用基準】の書評記事になります。
表紙には「地頭より論理的思考力より大切なもの」との記載があります。
本書では「これからの日本に地頭の良い人が必要ではない」とも記載がありますが、その真意は・・・。
まさか多くの人が、「これからの日本には地頭のよい人が必要だ」と考えているわけではないでしょう。
採用基準
伊賀さんは、日本人がビジネスパーソンとして活躍するうえで「大切なもの」は「リーダーシップ」だと本書では伝えています。
経営層や管理職にリーダーシップが必要なのは理解できますが、すべてのビジネスパーソンに必要と語る意図について、本書を通して理解していきましょう!
『採用基準』オススメ読者
「マッキンゼーへの入社や転職を考えている人」というのが真っ先に浮かびそうですし、それ以外の人にはあまり関係のなさそうな本ですよね。
でも、実際はコンサルタントを目指す方に限らず、「何かを変える必要のある人・何かを変えたいという意識のある人」に是非とも読んでいただきたい1冊となっています。
- 指示待ち人間という側面を指摘されたことのある人
- 自分の現状を変えるための行動に躊躇している人
- グローバルシーンで活躍するビジネスパーソンを目指す人
注意するべきは、マッキンゼーを始めとするコンサルティングファーム就職対策本として期待されている方ですかね。
もちろん、就職には役に立ちます。
就職以前のビジネスパーソンとしての心構えに関する書籍ですから。
しかし、ケーススタディ対策や面接対策としての情報が欲しいのなら、以下の記事で紹介しているような別の本を読むべきですね。
ここで質問です。
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『採用基準』著者(伊賀 泰代)
2017年からクックパッド株式会社の社外取締役を務められている「伊賀 泰代」さんです。
クックパッドは現CEO岩田さんや執行役の保田さんとマッキンゼーの卒業生が他にもいらっしゃいますね。
- 伊賀 泰代(いが やすよ)
- 一橋大学法学部を卒業
- 日興証券引受本部(当時)を経て、カリフォルニア大学バークレー校ハース・スクール・オブ・ビジネスにてMBAを取得
- マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社で17年間勤務
(当初5年間はコンサルタント、残り12年間は採用業務を中心にトレーニング講師) - 2011年に独立し、キャリアインタビューサイト「MY CHOICE」を運営 ※もう更新されていないようですね。
- 2017年よりクックパッド株式会社社外取締役
『採用基準』目次
『採用基準』の目次をご紹介します。
そして、目次の段階で「地頭より論理的思考力より大切なもの」とは何かが分かると思います。
- 序章 マッキンゼーの採用マネジャーとして
- 第1章 誤解される採用基準
- 第2章 採用したいのは将来のリーダー
- 第3章 さまざまな概念と混同されるリーダーシップ
- 第4章 リーダーがなすべき四つのタスク
- 第5章 マッキンゼー流リーダーシップの学び方
- 第6章 リーダー不足に関する認識不足
- 第7章 すべての人に求められるリーダーシップ
- 終章 リーダーシップで人生のコントロールを握る
もうお分かりですよね。
答えは「リーダーシップ」です。
『採用基準』書籍概要
個人的に重要だと感じたのは後半の3章(第6章~終章)です。
前半は著者である伊賀さんのキャリアについてや、マッキンゼー(もしくは御自身)の人材採用に対する考えが語られており、やや個別具体的な印象です。
コンサルティング業界に身を置く者としては、とても興味深いお話をされているのですが、コンサルティング業界やマッキンゼーへの興味がないと「ふーん」という感じになるかもな、と思いました。
しかし、中盤(第3章)からは、リーダーシップというものに対する正しい理解とその役割・為すべきことが語られています。
とはいえ、ここまでは他の書籍でも語られているような内容だったりするのです。
重要なのは、第6章~終章です。
日本固有のリーダーシップに対する考え方やその考え方による弊害とでも言うべき日本経済の現状に通ずる示唆が含まれています。
1人ひとりがリーダーシップを備えないことへの問題意識の欠如
カリスマが現れて変革を起こしてくれるドラマのような展開は現実にはそうそう起こりません。
なので、各人が問題意識と当事者意識を抱いて変革を推し進めることが重要です。
しかし、日本の終身雇用制度や年功序列が起因してか、日本では組織のルールを守る管理職(マネージャー)でいることが、優秀で安全に出世できるという暗黙的な意識があるのでしょう。
リーダーシップを発揮する人の数(総量)=リーダーシップ・キャパシティが絶対的に少ないというのです。
変革は1人のカリスマが起こすよりも、一定数のリーダーが存在することで成し遂げられ(逆にカリスマが1人だけ居ても現実を変えるのは難しい)、特に非常時においては複数のリーダーが自ら率先して問題に対応していくことで非常事態の鎮静化は円滑に進みます。
優秀な指揮官に依存している統率の取れた軍隊よりも、各人が戦況を判断して動く遊軍部隊が強いという感覚でしょうか。(そういう戦略知識はありませんのでイメージですが。)
問題の根本は、リーダーシップを備えないことへの問題意識の欠如でしょう。
前述のように、日本の雇用慣行や国民性なのか、自らのミッションや目的・活動の意義を明確に宣言をして重要性を訴えていき、周りの人を動かすというが日本人は苦手な印象です。
ポストドクター問題というのも、研究者としては専門性が高く優秀ではあるが、研究の先にあるミッションや達成したい目的などを人に伝えて、動かして(リーダーシップを発揮して)いくことが苦手であるが故の問題かもしれません。
優秀な頭脳を活かしてビジネスや世界を変える機会を逃してしまう。
これは日本経済にとっても非常に惜しい損失です。
リーダーシップは、チーム全員が持つことが望ましい能力です。
決して誰か1人だけが有していれば良いものではないのです。
“リーダーシップ”という言葉を「チームを率いる唯一無二の存在だけが有していれば良いもの」と捉えていては日本の閉塞感はずっと続くと思います。
リーダーシップは学べる
対策として、リーダーの絶対数を増やすために日常からリーダーシップを発揮していくことが重要であると説いています。
例えば、昼休みに同僚とランチに行くときも自らが意思を表明して引っ張っていくというだけでも、そこにはリーダーシップが垣間見えるはずです。
日常における小さなリーダーシップ体験の積み重ねが、自らの中で芽生えたリーダーシップの芽を育てていくことになるのです。
リーダーシップは人生をコントロールする力
仮に(公私問わず、規模なんかも一旦は気にせず)、あなたの抱く問題意識について、自らが解決していける人生って素敵ですよね。
リーダーシップを発揮していくことで、自分の問題意識を伝え、人を動かすことで解決していく(世界を変えていける)人生を描ける可能性があるのです。
小さなリーダーシップの積み重ねで、解決していく問題の規模や範囲を広げていければ、あながち理想論ではないでしょう。
問題意識や変えたい世界を考えるうえでの根底には私利私欲に捉われない倫理観や道徳が必要なのは言うまでもないですが。
『採用基準』を読んだ感想
『採用基準』は日本人が活躍するための基準を示してくれています。
この本を読んで「コンサルタントとして、クライアント企業を変革する1つの触媒でありたい」と思いました。
「リーダーシップ」を備えた触媒としてクライアント企業を支援して、現場でリーダーシップを持つ人材を少しでも増やしていけるように、自らも在りたいと。
同じように本書を読んで、今後の日本に求められるビジネスパーソンの在り方について考えてくださる方が増えると嬉しいです!
コンサルティングファームの雄であるマッキンゼーの採用基準をご紹介してきましたが、他のコンサルティングファームの採用基準はどうでしょうか?
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コンサル転職を成功させるため転職エージェントを複数利用
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